リチャード3世

会社を休んで、お昼から赤坂サカスでふらふらして、「リチャード3世」*1観てご飯して、贅沢気分です。ウィンドウショッピングしかしてないけど、気持ちだけなら!
以下なんとなく舞台感想メモです。


いのうえひでのり×シェイクスピアは「メタルマクベス」ぶり*2。今回は、かなりシェイクスピアの「リチャード3世」かな。王弟で醜悪な容姿のリチャードが、権謀術策の限りを尽くして王になり、裏切りの果てに晒されるまで。そんなリチャード3世の死因は銃殺ですけども。携帯もバイクもPCもTVもある世界だけど、きっちり薔薇戦争中で。
シェイクスピアらしく、台詞がとにかく長くて、しかも古田さん(リチャード)や安田さん(エドワード王太子未亡人後にリチャードの妻アン)が時折噛んじゃうので、そこは気になるー。あの量を覚えて一気にまくしたてるのきつ過ぎるんだろうなぁ。呪いの長台詞のところは、銀粉蝶さん(リチャードと兄王で追い落とした先王妃マーガレット)の緩急が素敵で、あの勢いで人に呪われたら諦めがつきそうな気がしました。しかし、久世さん(リチャードの兄王の妃エリザベス)がヒロインなくらいに見えたんですけど。うん、キャストほんとうに豪華です。
長台詞のところで、ちっちゃなPCを腕のところで打ってるテイで進める*3のは面白かったけど、ちょっと煩雑な印象かもしれません。「死ね死ね死ね死ね」とかモニター使うところは、ありがちな感じであんまり。前王妃のマーガレットが、リチャードはじめエリザベスやバッキンガムを呪う場面の台詞の締め括りで、呪う相手をリチャードが打ち代えてみせるのは好きだったんですが。
光と映像と音の使い方は、相変わらず派手で楽しかった!最初に世界が真っ白になって、視界が回復した時には、そこは「リチャード3世」の世界ということで。最後にリチャードを倒したリッチモンド伯の勝利演説が、爆音で聞こえなくなるエンディングとか。その前の母親が叫ぶ呪いの言葉を「出征の太鼓の音で全てをかき消してやる」と言うリチャードとか。
ただ、リチャードが希代の悪党なのはいいんですけど、相対してる人たちも魑魅魍魎な気がする*4のに、最終的に棚にあげちゃってる感がなかなか。原作の書かれた背景*5からしてもしょうがないけど、リチャードも大概だけど、そこの呪ってる人もちょっと待って!って言いたくなるよね。なりました。うん、誘導されてる。
自分も他人もあの人もこの人も、ひとを呪ってる場面の多いお芝居なのですが、あれだけ質量豊富な言葉で呪い倒せたら、それはそれで気が晴れそうな。あんなに滑らかに舌が回らないよー。語彙力すごいよー。人生何かの機会があったら、口に出してみたい日本語揃い。
あ、あと最後の戦いの際の、追い詰められても戦うリチャードの名台詞はやっぱりテンションが上がりました。「馬だ!馬を連れてきた奴にこの国をくれてやる!」。リチャードの呪った平安は、確かに最後までリチャードに追いつかなかった。呪いをその身に受けて、誰にも嘆かれない死を迎える、その時まで。


3時間の長丁場だけれど、飽きずに引き込まれて、ふわっふわした高揚感が味わえました。次回は「蜉蝣峠」なので、そちらも楽しみ!いや、その前にキャラメルのハーフタイムシアターで、さらにその前には土日に革命起こしてくるんですけど。追加は外れちゃったので、日曜が自分的楽です。革命終わっちゃうなんて寂しいなああああああああああ。

*1:http://www.parco-play.com/web/play/richard/

*2:メタルマクベスは演出のみだけど

*3:大量のモニターに、それぞれ打ち込まれる文字が流れます。つまり喋ってる長台詞が流れます。ちなみにTVのニュース速報的に、崩御のお知らせや反乱軍決起のお知らせも流れる

*4:榎木さん@スタンリーなんてとても誠実そうに裏切るので、本当に見せかけに騙されちゃダメだ…!と思えます

*5:シェイクスピアの時代はランカスター系の王様の時代でリチャードは最後のヨーク系の王様だから