「イブ・サンローラン」

久しぶりの映画カテです、というか、作ったのすっかり忘れてたよー…。

イブ・サンローランの50年来のパートナーのピエールが、彼の死後2人の思い出の家や美術品などをオークションにかけて売るまでのドキュメンタリー。
「私が死んでも彼は美術品を売らないだろう」という言葉の通り、大切な人を亡くした人がその現実へ対処していく過程って、その人本人にしか分からない儀式のようなものなんだろうなぁ、と息が詰まる。でも、決して感情的になったり声を荒げることのないまま、悲しみがその後ろにそびえているようなインタビュー形式で進める作りがとてもフランス映画だなぁ。あと、プルースト引用ががんがんくるところが、こっち嗜好だよね、わかります、というか*1
インテリアが好きな人にとっては、もう美術館としか言いようのないような日常暮らしていた空間が素晴らしすぎて、それだけでも一見の価値あり。パリの本宅もノルマンディの家もマラケシュの家のみんな素敵すぎる。参考にするとかじゃなく、ため息をつくために見たい。
だって、一脚1200万ユーロとかがごろごろしてる上に、どう考えてもお手伝いさんがいないと清掃が成立しないような家具配置なんだよ…!掃除機とか絶対無理。
マラケシュの家のお庭にある少しくすんだグリーンとイエローの大きな鉢に観葉植物並べて入れて、同系色の星型のタイル張りの噴水から続くとこが素敵だったなあああああ。
でも、一番好きだったのは、ノルマンディの家のリビングの大きなソファを眺めるカット。あそこに寝そべって転寝するイブを語られると、精緻なパズルのピースがぴたりとはまるような幸福感。たとえ、逃げるように過ごしていたとしても、何と言うか現代の御伽噺のようだなぁと思いました。うん。
語られる事は氷山の一角に過ぎなくて、きっと言えない話や見せられない部分、綺麗なことも汚いことも沢山沢山眠っているんだと思いますが*2、人が人に人生を捧げるって、そして、その人を亡くしてもまだまだ続いていくものがあるって、その想いの密度に圧倒されるなぁと思うのです。



うん、全然じゃにーず関係ない!
でも、なんかもやもやしていたものが、いい感じに消化できた気分でこのタイミングで見られてよかったなーと思ったので。自分の中の些細なことで悩んでる時には宇宙規模のことを考えるとすっきりするみたいな話です、よ。

そんな訳で、すごくすごく私事ですが(このブログでそうじゃないことなどないんですけど!)、じゅにあ担としてはここら辺でちょっと一区切りつけようかなーと思います。
今持ってるチケットは楽しく消化させてもらうし、これから何も観にいかないなんてことでもなく、ただ入るペースを格段に落とすつもりだよー。そもそも歌舞伎も初日以降入ってないしなぁ。
うん、元々ライトなじゅにあ担がもっとライトになる、よ、というどうでもいい報告でしたー。以上!

*1:2人が引きこもった家の部屋の名前にプルーストの登場人物名つけたよ、エピソードとかは何の惚気かな…!感がすごい

*2:イブが男性の好きなところはって聞かれて「体毛」ってキャハってる以上に!